列車の窓から外を見ている私から もう一人の私が抜け出して
隣の貨物列車に乗ってしまった
レールはぐちゃぐちゃに絡まって 一体どこに通じているのかわからない
それを為す術もなく窓から見つめている
ガラスに手を当て 何もできない
列車はどんどん走ってしまう 彼は振向いてもくれない
やがてビルに遮られて見えなくなってしまう
私達は別々の場所に連れて行かれてしまう
でも大丈夫だよ
レールはまた何処かで 一つになれると思うから きっとその時会えるから
本当に―――?
そうやって何人置いてきただろう 忘れたい自分も 忘れてはならない自分も
今頃みんな どうしているだろう
それぞれに生きている世界を パズルのように組合わせたら
どんな画が出来上がるのだろう
もし或る駅で出会ったら 何が話せるだろうか
忘れたい過去と 忘れたくない気持ちと
矛盾だらけの日々を 無表情を装って見ぬふりをしている
そうこうするうちに パズルのピースはまた幾つも増えてしまった
もう完成する保証は無くなってしまった
そうして今日もまた 偶然居合わせた列車に乗り込み この身を委ねてしまう
でも今日の太陽は 優しい光で町を照らしている
|