---------------Monthly Kleingarten Nougakujuku News---------------

=======2003.9.1 9月号=========

 

CONTENTS
■畑の露地裏
■野菜自慢
■野のグルメ
■窯元探訪
■読者のコーナー
■農楽塾“メール農学校”
■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ
■イベント情報

■Monthlyインタビュー〜〜そして私は憧れのクラインガルテナーに〜〜

  ■畑の露地裏  
  畑の露地裏 I  冷夏

 10年ぶりに寒い夏です。すぐに10年の歳月が頭に浮かぶのには理由があります。それは、私の娘が10歳だからです。娘の名前は朱夏(あやか)といいます。予定日になっても生まれず、畑も寒空。今年のように、遅い梅雨明けを、まだかまだかと待っていました。ようやく7月も終わりになって生まれましたが、畑は梅雨のままでした。どうかまぶしい夏、真っ赤な夏になってくれないものかという思いが、子どもの名前にもなりました。
 さて、ここまで天気がおかしいと、野菜の様子も変ですね。本来なら夏の暑さにじっと耐えているはずのネギなどはイキイキとしているでしょうし、秋キャベツの早いもの(9月下旬収穫予定)などは、すでに葉が巻きはじめましたから、来月上旬には収穫できるかもしれませんね。
 そのような畑の様子を見ているからか、季節感がずれてしまった方が見受けられます。先週には、レタスやハクサイの苗を定植している方までいらっしゃいました。それでも、最高気温が25℃の冷夏であれば、とれます。多分、とれちゃいます! 教科書には書いてありませんが、収穫できるはずです。
 ただ、それを正当な(?)農業と思ってはいけません。明らかに間違ってとれるのです。基本どおりに作業している方が当たり前にとれず、逆にこういうミスが功を奏するのは、ビギナーズ・ラックというのでしょうか? つまり、今年とれた方の来年は…? そう、同じことをしても来年はうまくいかないのですョ。普通の年なら失敗します。にもかかわらず、たまたまうまくいくと味をしめてしまいます。
 こういうギャンブル的なことを好む農家も結構多いようです。私は競馬の予想屋ではありませんし、ギャンブルで作物を作っているわけではないので、大穴を狙うより堅実な作付けを指導いたします。

 百姓の言葉に「秋の一日、春の七日」というのがあります。理屈は次のとおりです。
 野菜は、種まき以後の日々の気温の総和(積算温度)に比例して生育します。このとき、「温度が上がる」=「日照がある」とみなします。
 たとえば、春の種まきで考えてみましょう。3月下旬に、予定より1週間ずらして大根の種をまくものとします。種をまいた方は「1週間ずらした」と思っていますが、残念なことに、ゴール(収穫時)はほとんど変わりません。というのも、3月下旬の1週間は、ややもすると毎日の最高気温が10℃前後だったりします。ところが、ゴールとなる6月には気温が30℃になっていたりします。つまり種まきの時の1日の差はゴールの頃には3分の1日の差になってしまいます。種まき時に1週間あった差も、収穫時には2日の差に減ってしまうのです(本当のことを言うと、もっと短くなります)。もっとも、ほとんどのガルテナーは週に1回しか見えないのですから、ここで生じた2日の差をお気づきになる方はいらっしゃらないでしょう。
 しかし、これとは逆に秋の種まきはタイミングが微妙です。少し勇み足をすると、暑いから早すぎるということになりますし、「来週までには種を調達しよう」などとノンキにかまえていると、“大根”が“中根”で止まったり“小根”で終わったりします。なぜなら、ゴールとなる真冬は寒すぎて生育できないのですから。秋の種まきでは、1週間の遅れが取り返しのつかないものになることを知っておいてください。
 ここで大事なことが計画遂行力です。夏までに畑仕事の“いろは”をおぼえられたら、今度は準備と計画がものを言います。秋の農作業は、それを確実に遂行することのみです。
 まあ、頭ではわかっていても、そうそう実行できるものではありませんよね。特に1年生は仕方ありません。ただ、あまり皆さんの畑の出来が悪いと、笠間クラインガルテンへの足が必ず遠のきます。指導員という私の立場上、観客動員数が減少すると上司から評価されません(笑)。やはり、いつお見えになっても、皆さんの畑に美味しくて新鮮な野菜があってほしいものです。
 本年の種まきも、残すところ1か月あまり。皆さん。計画は大丈夫ですか?

[斎藤典保]

 

野菜自慢(訪問先 池田宏さんご夫妻/談)

   ●夏野菜いろいろ

 この夏はシシトウ、ピーマン、ナス、キュウリ、インゲンなど果菜類がよくできました。ここでつくる野菜は瑞々しくて香りがいいし、安全で新鮮だから、ご近所に差し上げるととても喜ばれます。
 来るたびにどっさり持ち帰るので、『ピーマン、トマト、ナスの料理』という本まで買ったんですよ。キュウリの酢の物も、かなり腕を上げたかしら(笑)。
 1歳にもならない孫が、なまのインゲンを丸かじりしたのにはビックリ! ニンジンも甘いのか、よく食べます。そういうことが、やっぱりいちばん嬉しいですよね。

[訪問・文/有野真由美]
■野のグルメ
  次号をお楽しみください
窯元探訪
次号をお楽しみください
読者のコーナー
 『クラインガルテン農楽塾通信』をごらんになった皆様のコーナーです。ご意見、ご感想、他の読者の方にお知らせしたいメッセージなどをお寄せください。内容によっては今後、紙面に掲載させていただく場合もありますので、あらかじめご了承をお願いします(匿名、イニシアル、ハンドルネームでの掲載を希望される方は、その旨、お書きください)。
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農楽塾“メール農学校”
●農楽塾「メール農学校」 のご案内

 このコーナーは、都合によりサイトを変更いたします。新しい「メール農学校」のご案内はもうしばらくお待ちください。


 お問い合わせは、農楽塾「メール農学校」、斎藤まで。 
 
■イベント情報
8月は雨続きのため予定されていた行事は中止になりました。

■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ
◇“おうどん会”

期:9月6日〜9月7日・・・仕込みと試食。
 :9月20日〜90月21日・・・仕込みと試食

詳細はクラインガルテン事務局まで。
   Tel;0296−70−3011

[笠間クラインガルテン]
Monthlyインタビュー
〜〜そして私は憧れのガルテナーに〜〜第3回
ガルテナーの多くは趣味として
「農」を楽しんでいるのではないでしょうか。
しかし今月ご登場の小暮さんご夫妻は違います。
セミプロになることを目指し、
さらには農業のあり方を変革することまで
視野に入れているとか。
さっそくその意気込みを聞きましょう。

クラインガルテンでしっかり学び
立派に卒業した暁には
農業のセミプロとして活躍したい。


ガルテナー/小暮虎雄さん・康子さん

Profile
こぐれとらお(60歳)・やすこ(52歳)。虎雄さんは埼玉県行田市、康子さんは東京都北区王子の出身。自宅は柏市。虎雄さんは大手電機会社に勤務していたが、03年8月に定年退職して、「農」に本格的に取り組む生活に入った。農業のあり方の変革を目指して「農業ルネッサンス」を提唱。ホームページも開設している(http://homepage3.nifty.com/toragigi/)。

◇昔は農家の手伝いがイヤだった
ところがなぜか「農」の人に

――小暮さん、ご出身はどちらなんでしょう?

虎雄 私は埼玉県の行田市、女房は東京の王子の出身です。

――小さい頃に、「農」との関わりなどはありましたか?

康子 ウチは父が勤め人でしたから、ほとんどありませんでしたが、主人の方は……。
虎雄 私の場合は、家が農家でしたから、関わりがあるというより、農業という環境の中で暮らしていました。子どもの頃から、いろんな手伝いをさせられましたよ。草刈りをしたり、脱穀の作業をやらされたりね。昔は今みたいに便利でラクな機械が揃っているわけじゃないから、そりゃあ、仕事は大変でしたよ。だから、農家というのがイヤでイヤでね。私は家を継がなくてもいいという事情もありましたが、それでサラリーマンになる道を選んだようなものです。

――以前は農業が嫌いだったと。それがなぜ、「農」に関心を持つようになったのか?

虎雄 言われてみれば、不思議ですよねぇ。自分でもよくわからないところがあるけれど、なぜだか30代半ばを過ぎた頃から、土に親しみたくなったんですよ。
康子 結婚した当初は都内に住みましたが、子どものためにも環境のいい郊外で暮らしたいと考えて、千葉県柏市に居を構えたんです。それがひとつのきっかけになったのかな? あの頃から家庭菜園を始めたのよね。
虎雄 私は電機メーカーに入って、原子力発電所建設等のプロジェクト(生産管理)の仕事に就いていました。土を相手にする農業とはまったく縁のない世界。だから、逆に興味が湧いたのか……。

――昔はイヤだったとおっしゃいましたが、小暮さんの家は農家だったということですから、DNAに農業人になるような因子が刻み込まれていたのでは……。

虎雄 う〜ん、ないとはいえません。身体の中に農家の血が流れていたのかもしれませんね。というより、そもそも日本は瑞穂の国でしょう? 祖先の人たちはみんな、田圃をつくり畑を耕してきたんですよ。だから、土に親しみたいという願望は、実は我々全員の中にあるんじゃないかな。それが、何かをきっかけに現れる、そんな気もしますね。

◇米づくりのサークルに参加、
就農準備校にも入って思いを深める

――それにしても、30代後半からといえば、家庭菜園歴はかなり長いですね。その実績を踏まえて、そしてそれに飽きたらずに、クラインガルテンの住人になった、ということでしょうか。

虎雄 50歳を過ぎた頃からかな、私は本気で「農」に取り組みたいと考えるようになったんですよ。趣味として遊びとして農業をやるのではなく、セミプロとしてやりたいなと。それで、柏で米づくりのサークルに参加したり、就農準備校で勉強したりしてね。

――就農準備校とは……?

虎雄 農林水産省がやっている学校で期間は3カ月、農業に就きたい人が必要な知識を学ぶところです。座学が中心ですが、農業見学などもありますね。“就農”というくらいですから、仕事として農業をやりたいという人がくる学校です。だから、勉強になる点は多かったですね。

――そこまで経験を積んだ上で、ガルテナーになられたわけですね。

康子 主人がその学校でいろんなことを学んで、意欲が高まっていたちょうどその頃に、テレビでクラインガルテンのことを紹介する番組を見たんです。で、すぐに応募してガルテンの住人になることができたんですね。

――会社のお仕事は続けながら、ガルテンに来るようになったのでしょうか。

虎雄 ガルテナーになった最初は現役だったから、忙しかったですね。しかし、この8月に還暦を迎えるとともに定年退職。やっと時間をゆっくり取れるようになりました。だからこれからは、本腰を入れて「農」に取り組みたいなと。

――小暮さんは本気で「農」をやる、趣味ではなくセミプロを目指すとおっしゃっていますが、具体的にはどんな展開を考えておられるのでしょうか。

虎雄 私はまず無農薬野菜を自分の手でつくりたいと思っているわけですが、それがちゃんとできるようになったら、自作野菜の一部を売りたいと思っているんです。私はそれを「お裾分け販売」と呼ぶつもりなんですけどね。売るのは、ひとつには年金が少ししか要らない自立的な生活の一助とするため。もうひとつには、お裾分け販売で農業のあり方を少しでも変えたいと思っているからなんです。

◇私たちが手動脱穀機を使って作業する
そんなところから新しい「農」の形をつくりたい

虎雄 自分で無農薬野菜を作って自分で食べて満足する、それはそれでいいことだと思いますが、社会を変えることにはつながりませんよね。ところが、無農薬野菜を販売すれば流通が生まれて、そこに関わる人に影響を与えることができる。売るとなれば、責任が生じますから作る方はよりいいものを作ろうとするようにもなるでしょう。だから、敢えて売りたいんです。儲けようという気はさらさらなくて、野菜づくりをちゃんとした経済行為にしたいから、そしてそのことによって多くの人に刺激を与えたいから、お裾分けであっても販売したいんですね。

――しかし、クラインガルテンでは販売などは禁じられていますから……。

虎雄 だから、クラインガルテンを舞台にそれをやろうという気はありませんよ。第一、まだ人にお裾分けするほどの野菜を作っていませんから(笑)。冗談はともかく、私はガルテンでしっかり勉強させてもらい、立派に卒業させてもらったその後で、自分で農家や畑を借りて、セミプロとしての活動を始めようと思っています。もう実際に探し始めているんですけどね。いいところが見つかれば、月に20日は農園で、10日は柏の実家で過ごすという暮らしを夢見ています。その時に、お裾分け販売が実現できればいいなと考えているんですね。

――小暮さんはご自分のホームページも開設されていて、そこでは「農業ルネッサンス」という言葉を使って、農業のあり方を変革しようと訴えておられます。最後にこの点について、お考えを聞かせてください。

虎雄 お裾分け販売もそれに関連するものですが、私が提唱する農業ルネッサンスとは、“ミニ農家が復権復興されたミニ農機具を使って新しい「農」の形をつくろう”というもの。例えば手動脱穀機や押し切り、トウミ、堆肥作り機などを積極的に使って、小規模な農家にふさわしい「農」のやり方を確立できないかと考えているんですね。今は高齢化社会が進んでいるし、田舎暮らしがブームにもなっているから、そうした試みをするチャンスはあると思うんです。むろん私たち一人ひとりの力など微々たるものですが、そんな意識でコツコツ農業を始める人が少しずつ増えていけば、わずかずつでも日本の農業のあり方が変わるかもしれないと思っています。そんな私の理想を実現するためにも、今はクラインガルテンでの活動に頑張りたいですね。

[インタビュー・構成/浜崎智博]

ヤーコンがこんなにも立派に

ハウス栽培は小暮さんの得意技

サトイモはでっかいウチワのような葉をつけてます

ネギ栽培はガルテンでもトップクラス


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■発行人:斎藤典保 、石井敬造■編集長:斎藤典保
■編集:有野真由美、駒井延行、浜崎智博、林喜代子、富田正義
■通信員:
■発行:笠間クラインガルテン栽培クラブ
■協力:笠間市農政課

●記事に関するお問い合わせ: nougakujuku@michi-m.co.jp
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