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---------------Monthly Kleingarten Nougakujuku News--------------- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
CONTENTS |
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■畑の露地裏 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
畑の露地裏 H 「男性的梅雨」「女性的梅雨」という言葉を聞いたことがあります。前者は大雨と梅雨晴れを繰り返すことを指し、後者は“じめじめ”“しとしと”という空模様を指したもののようですが(こんな表現は性差別ですね)、とにかく今年は天気が悪い。 ここ笠間クラインガルテンでは、降水量はそれほど多くないのですが、極端な日照不足が続いています。当然のことながら、夏野菜の生育にも影響が出てきました。 一番の被害者は皆さんの大好きな“トマト”です。カビや細菌による病気が主なものです。カビや細菌は、高温多湿で日光がないときに大暴れします。これらのバイキン(少々非科学的ですが)は、どこにでも普通にいるものです。自然相手の仕事にはこういう年もあることを忘れないでください。 ちょうど10年前になりますが、米がないといって大騒ぎをした年がありました。何年かに一度は、不作の年があります。日本の場合はたいてい田の近くに川がありますから、日本全体で見れば凶作の原因となるのは日照りではなく冷害です。水はあるところから捜してくればいいので工面のしようがありますが、お日様を隠す雲を払うことはできないのです。 このような年には、春野菜が延命して夏野菜の生育障害、とりわけ病害が多発します。上述のトマトのように、おもな病害はカビや細菌によるものです。高温多湿がいけないのです。キャベツやレタスが溶けるように腐ることも同じ原因です。 ですから、水はけがよくなるように溝をつけたり、周囲の草取りをして株元がむれないようにすることなどが、わずかですが植物を上手に育てるコツになります。僅差は大差です。積み重なると大きなものになります。 私もかつて、偶然にキャベツの畝を高くしていたために排水がよくなり、株元からの腐敗が遅れたことがあります。しかし、運悪くカラ梅雨の年であったら、逆の結果になっていたことでしょう。 クラインガルテンの畑を見ても、生育に微妙な差が生じています。同じ苗をそれほど大差なく管理しているのに、早くから病気に負けたものとそうでないものとがあります。いったい、何が違うのでしょうか? 残念ながら確信をもってこれだと言える理由はありません。 しかしながら、一つひとつ見ていくと、わずかながら気になることが見つかります。例としてトマトを取り上げましょう。 前提条件として、生育不良の原因をカビとバクテリア(バイキン)と仮定します。講習会でも再三お話ししているように、これらの原因菌は水を介して感染しますから、植物に水が直接当たらないようにすることが大切です。それゆえ、お気づきの方も多いと思いますが、露地に植えたものより雨を避ける天井(ビニール)がある所に植えたほうが、たとえ病気を発症したとしても時間が遅れています。 次に、風通しの問題です。A棟のメインストリート沿いのトマトは軒並み玉砕しています。ところが、南側が開けた畑では病気の発症が遅くなりました。 さらに、肥やしの問題です。トマトは、ヒトでいうところの“生活習慣病”になりやすいため、あまり多くの肥料を与えません。日頃からよく話すのですが、肥やしが足りなければ追肥をすればいいのです。しかし、たくさん与えすぎたら取り除くことはできません。 これは、風通しとも関連があるのですが、トマトの周りの状況を考えて下さい。風通しは、地形だけでなく、周りを取り囲む他の植物や庭木に影響されます。肥やしも、前作の残りが影響します。また畑が斜面の場合は上方にある野菜の肥やしのことまで考慮してください(雨が降れば、雨水に溶けた肥やしの成分は下に流れ出しますから)。 トマトの場合、慣行的には殺菌剤を常用します。病気になってからでは手遅れですから、予防薬として使用します。つまり、病状が出る前にとりあえず撒布するのです。梅雨時は薬剤が雨で流されますから、雨の合間にまた予防のために撒きます。実情を知らない方から見ると、いつも薬剤を撒いているように見えます。 では、こうした薬剤を使用しないでトマトをつくるにはどうするかというと、大きな雨避けハウスに、ポツン、ポツンと植えるのです。決して欲張ってたくさん植えません。 クラインガルテンで多くの方が利用されている小型ビニールハウス(1坪)では、理想を言えば1株。譲っても2株です。3株植えたいと言われるなら目をつぶろう。4株、5株…なんて欲張られたら、「バカ!」と言いたくなります(失敬)。 そんなに混み合って植えられたらどうなるでしょうか。伸びてきた両端の株はすぐにハウスからはみ出し、もはや雨避け栽培とは言えません。第一、風通しが悪くなります。株同士が重なり合って、どの株かがいったん病気感染したら、全部に感染するのは時間の問題です。トマトを植えられる前に、こうしたリスクまで考えてください。 さて、トマトの栽培方法に、芽欠きという作業があります。しかし私は、低温で雨が続き始めた6月上旬からこの作業を行っていません。最大の理由は、バイキンが感染する傷口をあえて作らないためです。ちょうどジャガイモの収穫期にあたり、何かとジャガイモに接することが増えるため、ジャガイモのもつバイキンを感染させないことが重要です。 最悪の場合はトマトをあきらめてもいいと割り切り、トマトハウスには一切近寄りませんでした。それでも、花の房が3〜4段ありましたから、私の判断が正しければ、それだけは収穫できるわけです。結果的に私の判断は正しく、7月27日現在、主だった病害は出ていません。 私以外にも、A−4棟とA−13棟の、大きなハウスを作られた方は、問題なくトマトが生育しています。 また、例外ですがB−4棟も病気が出ていません。これは、ハウスを完全に密封してあるためです。今年は、日照がありませんから結果的によかったのです。いくら梅雨といっても、たいていは毎日雨が降りつづくわけではないので、密封して1週間放置したらアブラムシの巣窟となり、別の病害を誘発しかねません。しかしこのケースでは、高畝にしたために風通しがよくなってキャベツが腐敗しなかった私の例と同じく運がよかったのです。 適当に植えてもとれるときはとれます。「プッ」とはき捨てた種からだって、とれるときはとれます。しかしそれは、運がよかっただけなのです。百姓仕事も、アレコレ考え出すときりがありません。 しかし、より自然にやさしい農業を行う場合、いろいろなことに気配りする必要があります。その注意点が的を得ていて対応がしっかりできたときにはきちんと成果が出ますが、的を得ていないか、または対応が適切でないと失敗することになります。百姓はけっこう難しいものです。 大事なことに優先順位をつけて考えてください。モノの本にはさまざまなことが書かれていますが、自分のおかれた環境や技量に照らして、適切なことを選ばないと何にもなりません。トマトと環境と自分を、調和のとれた関係に置けるようになると、栽培が容易に感じられるはずです。そのとき、もちろん結果もついてくるはずです。 [斎藤典保] |
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■野菜自慢(訪問先 米澤立雄さん) |
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●トマトとナス 今年、露地トマトはまったくダメですが、幸い、ハウスの中の4本はそろって上出来です。大玉で甘く、亀裂もまったくありません。たくさん収穫でき、みんなでおいしくいただいています。 今年はナスもよくできました。畑の真中で、風通しもいいんでしょうね。全然虫がつかず、どっさりなって、食べきれないほどです(笑)。 (妹;上田ゆき子さん・談) [訪問・文/有野真由美] |
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米澤さんの畑では、おばあちゃん、ゆき子さん、理香ちゃんが仲良く収穫作業中でした | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■野のグルメ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コンセプトは「菜園で採れた季節の野菜で、簡単料理」を基本に月ごとにメニューを提案していきます。 レシピはシンプルなので、料理を作る方の工夫次第で色々なアレンジが可能です。 料理を盛る器は窯元探訪でお借りした笠間焼の器を使用しています。 |
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●おかひじきのイタリアンサラダ
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●夏野菜のおろし和え
[駒井延行] |
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・・・あとは試食。さあいただきまあーす・・・ 今回も器をお借りした高橋淳一氏をお招きしご一緒に試食しました。 |
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<おかひじきのイタリアンサラダ> オカヒジキの食感とワインビネガーの取り合わせが、夏のサラダですね。色の取り合わせもまた鮮やかです。・・・・・斎藤 なにしろ食感がよいですね。このしゃりっとした歯ごたえとパプリカの甘さがイタリアンドレッシングにマッチしています。・・・・・富田 <夏野菜のおろし和え> サラダ油でいためたカボチャは重量感がありますが、大根おろしが全体をさっぱりさせています。これら野菜の取り合わせは初夏の組み合わせです。野菜をたくさん取るにはやはり温野菜がいいですね。・・・・・斎藤 これも野菜の味が薄味のだし汁の中に引き立っていますね。野菜の旨さが引き出された逸品です。・・・・・富田 |
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■窯元探訪 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●高橋 淳一氏 その工房は、時間の扉の向こうにあった。郊外の真新しいアスファルト道から少し外れただけなのに、どうやらタイムスリップしてしまったらしい。隠れ里のような集落が続く小高い丘の先、道はどんどん細くなる。ついに行き止まりかと思ったとき、めざす工房がひっそりとあらわれた。いったい、いつからここにあるのだろう。鬱蒼とした竹藪の中、故意に隠されているかのような印象だ。 梅雨晴れの夕刻、不意に雲が垂れ込め、気まぐれな雨が降り始めたところに、われわれ4人は到着した。高橋氏に出迎えられて居間に入るなり、大きな皿がいくつも目に飛び込んできた。相変わらずまったくの素人の私は、その迫力に圧倒されるばかり…。気の利いた感想を述べることもできぬまま、作品を鑑賞させていただいた。 使い勝手のよい食卓の器が中心とのことだが、横目でちらちら眺めた灰釉の大皿は格調高く、その美しさは入念に計算されたもののように思われる。 土創会展のダイレクトメールには高橋氏のエキセントリックな仮装写真があるが(本紙6月号に紹介)、これとはまた違った気負いのない雰囲気に飲み込まれ、楽しい窯元探訪であった。 笠間駅に近い居酒屋「ぴょんぴょん」(電話0296−73−0323)では、高橋氏の手になる食器が使われている。ご興味のある方は一度のぞいてみては? [斎藤典保] 【陶歴】 笠間焼協同組合のホームページをご覧下さい。 http://www.kasamayaki.net/cgi-bin/artist/conf.cgi?ID=0065 |
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■読者のコーナー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『クラインガルテン農楽塾通信』をごらんになった皆様のコーナーです。ご意見、ご感想、他の読者の方にお知らせしたいメッセージなどをお寄せください。内容によっては今後、紙面に掲載させていただく場合もありますので、あらかじめご了承をお願いします(匿名、イニシアル、ハンドルネームでの掲載を希望される方は、その旨、お書きください)。 |
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■農楽塾“メール農学校” | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■イベント情報(第1回笠間クラインガルテン野菜コンテスト/結果と講評) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7月6日(日)の七夕感謝祭に合わせて開催された野菜コンテストでは、来場者の投票により以下の方々が優秀賞を受賞されました。 ○タマネギの部 戸松重夫さん ○キュウリの部 澤田昌文さん ○インゲンの部 野田康司さん <講評> このコンテストを企画した時はまだ少し寒く、七夕のころに何が採れるか心配でした。7月といえば畑は夏ですが、今年の春の気温では、7月に入っても春野菜が畑に残っていることも考えられました。 せっかくの催しですから、参加してくださる皆さんの腕が存分に発揮できるようなお題を選びたいと、あれこれ思案した結果、タマネギ、キュウリ、インゲンの3部門に決めました。 それでもやはり今年は春が少し寒かったせいで、キュウリとインゲンの出来栄えが今ひとつでした。また、タマネギなどは家庭菜園の中では難しい野菜です。 そのような課題を上手にクリアーされた方がずいぶんいらっしゃって私もビックリしました。さらに、日程の関係でエントリーできないかった方もいらっしゃいましたから、皆さんの力量はこの2年余りで、かなりハイレベルになりましたネ。おそらく、どこの市民農園と比べても遜色ないものと思います。これだけできれば十分です。 何ごとも慣れてくれば余裕がでます。今後は、畑仕事以外の“笠間のよさ”を発見されてはいかがでしょうか!? (斎藤典保) |
会場風景 |
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■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◇『夕涼み会』
8月9日(土) 18:00〜クラブハウス
◇『本戸盆踊り大会』
8月15日(金) 19:00〜本戸公民館
集合 18:00クラブハウス
[笠間クラインガルテン] |
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■Monthlyインタビュー 〜〜そして私は憧れのガルテナーに〜〜第2回 |
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今月は“元祖・自由人夫婦”とも呼べる 皆川洋一さん・美知子さんがご登場します。 お二人の生き方は闊達かつ個性的。 クラインガルテンへの関わりもユニークです。 これまでの歩みや農への思いを、じっくりと聞きましょう。 |
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●野菜を育て、ジャムを手づくり、シイタケを植え付け、読書を楽しむ夜も。笠間の3週間はあっという間に過ぎていきます。 ガルテナー/皆川洋一さん・美知子さん Profile みながわよういち(56歳)・みちこ(53歳)。洋一さんは神奈川県葉山町、美知子さんは神戸市の出身。自宅は葉山町に。ロサンゼルスなどでの海外生活の後、洋一さんは都市開発を手がける会社に、美知子さんは外資系銀行に勤務。夫婦の生活を大切にしようと、共に早期退職して、クラインガルテンの住人となった。 ◇自由に世界を歩き回った あの時代を思い起こせば…… ――皆川夫妻といえば、ここクラインガルテンでは大変に仲のいいご夫婦として知られています。外国生活が長くユニークな経験をしておられるとも伺っています。というわけで、今回はまず、これまでのお二人の歩みについて聞かせてください。なんでも洋一さんは世界を渡り歩いてきたとか。 洋一 20代半ばの頃だけど、会社を辞めてハワイに行ってね。先輩が向こうで一緒にアロハシャツの販売をやろうというから、先に行って待機してたんですよ。だけど先輩が来られなくなってね。「オレ、やっぱり会社を辞められなくなったから」と。 ――あんまりですね(笑)。 洋一 ヒドイよね(笑)。しょうがないから1年位、語学学校に通ったりヨットに乗ったりして。 美知子 それからフランスに行くのよね。 洋一 僕は元々、海洋学や潜水に興味があってね。で、ハワイで遊んでいてもしょうがないから、フランスに渡って、(世界的な海洋学者である)ジャック・イブ・クストーが代表を務める潜水学校に入って、国家資格の潜水士の資格を取ったんです。その後、日本に戻りましたが、その資格を生かして、八重山諸島でレジャー開発を行なう会社で働くことになりました。 美知子 でも、そこも3年半くらいで辞めたんだっけ? 洋一 そう。ちょうど自然破壊の弊害が言われ始めた時で、その会社がレジャー開発を中断しちゃったからね。会社を辞めてからは現地で知り合った絵描きさんの家に居候するようになった。1年位はいたのかな。そしたら今度は、ロサンゼルスにいる先輩が、旅行会社を始めるから一緒にやらないか、と声をかけてくれてね。それで、ロスに渡ることになったわけです。 ――美知子さんも海外には縁が深い。確かフランスに留学された経験があるとか。 美知子 この人とはある会社の社員同士として知り合ったんだけど、向こうはその会社を辞めてハワイに行っちゃったのね。で、私もその会社を辞めて留学したの。私はサルトルとボーヴォワールの思想や生き方に憧れてたから、彼らの哲学を学びたいと思ってね。まあ、そんなにちゃんとした勉強はできなかったけどね。 ◇農園生活を始めるなら 元気な時に、動けるうちに ――結婚されたのはどんな経緯で……。 美知子 そんな具合でずっと離ればなれだったから、手紙をやり取りするくらいだったのよね。でも、この人がロスで旅行会社の仕事を始めた時、「遊びにこないか」と誘ってくれて。 洋一 そうしたら、来ちゃったんだよ。 美知子 それが、そもそもの失敗だったのよ(笑)。 ――それからはトントン拍子に進んだわけですね。 洋一 そうですね。僕が30歳の時、ロスで結婚式を挙げました。でも、その頃は金がなくてね、近くの教会に行ったら、他のカップルが式を挙げるためにきれいな飾りつけをしているわけです。ところがカップルはまだ来ていないから、「ここでやっちゃえ」と。で、他人の飾り付けを勝手に借りて、さっさと式を挙げちゃったわけです(笑)。費用は教会に寄付した20ドルだけだったかな。 ――(爆笑)。話が面白すぎて、なかなかクラインガルテンの話に行き着かない(笑)。その後は、日本に戻られたんですよね。 洋一 そうです。いろんな事情があって帰国しました。それからは、僕は都市開発などを手がける会社、彼女は外資系の銀行に入って、共稼ぎでやってきたわけですね。 ――強引に話を転換しますが(笑)、クラインガルテンに入ることになったきっかけは? 洋一 僕は53歳で早めに会社を辞めたんですよ。まあ、いつものクセだね(笑)。動けるうちに動いておこうと。彼女もほぼ同時期に会社を辞めました。で、秋田で暮らそうと思ったんです。 美知子 温泉のあるところで野菜をつくりながら暮らしたいなと。私たちはアジアの国々も大好きだから、寒いときはバリに住むのもいいなと考えたり。それで、秋田県内の町役場を訪ねたりして借家を探したんだけど、いい家がなくてね。売り物件ならあったけど、さすがに買うまでの余裕はないし。ちょうどそんな時に、朝日新聞で(クラインガルテンの企画に参加した)青木辰司教授がクラインガルテンの素晴らしさを紹介する投稿を読んだんですよ。で、すぐに問い合わせて、入村できることになったのね。 ◇クラインガルテンは「農」を 志す人の“道しるべ”になってくれた ――ガルテンに入って3年目、今はどのように過ごされていますか。 洋一 こっちに来ると2〜3週間は滞在します。葉山の自宅と半々で暮らしている感じかな。 ――2〜3週間となると、畑の手入れも終わって、さすがに何もやることがないという日もあるのでは? 美知子 いや、暇な日はほとんどないわよ。野菜の状態を見たり、草取りをしたりするだけでも大変だしね。梅をもらえば梅干しをつくったり、梅酒を漬けたり。あと、ジャムを手づくりしたりね。私たちはクラインガルテンに来ると、外食はまったくせずに3食ともここで食べるから、料理だけでもけっこう時間がかかるしね。なるべく自給自足したいから、野菜を色々工夫して料理するけど、それも楽しいよね。 洋一 Tさんという人が近所にいてね。クラインガルテンの行事などでよく協力してくれる方です。そのTさんが餅つきに呼んでくれたり、シイタケの植え付けに連れていってくれたりするんですよ。だからほんとに、退屈するってことはないよね。やることはいっぱいあるから、かえって時間に追われるくらいですよ。ただ、身体を動かしているばかりじゃなくて、僕らはたまに近所の図書館に行って、本を借りてきます。で、秋の夜長にはのんびりと読書をするのも楽しいよね。 ――これから先のことについては考えておられますか。 美知子 色々考えるよね。例えば、私たちは割に早く仕事を辞めたから、周りから「あの人たちは何してるんだろ?」と思われるんじゃないかと。 ――でも、価値観は人それぞれだし、自己責任において決断したんだから、気にする必要はないのでは? 美知子 そうはいっても、人の思惑をまったく気にしないというのはできないしね。ただ、私たちは完全な引退をしたわけじゃないという気持ちもあって、また仕事を始めるかもしれないしね。だから、いろんな可能性があるとは思うけどね。 洋一 5年という年限もあるし、先のことははっきりとは言えないけれど、ここで「農」の楽しさを覚えたわけだから、それを無駄にはしたくないよね。 美知子 ここは敷地が広いし、ラウベも付いて、利用料金が安い。しかも農業の指導までしてくれるんだから、こんなにありがたいものはないよね。そういうクラインガルテンは「農」を志す人にとっての“道しるべ”になってくれたわけだから、これからどうするか、私たちにとって一番いい方法を考えていきたいと思いますね。 [インタビュー・構成/浜崎智博] |
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■発行人:斎藤典保 、石井敬造■編集長:斎藤典保 |
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