|
||
---------------Monthly Kleingarten Nougakujuku News--------------- | ||
CONTENTS |
||
■畑の露地裏 | ||
畑の露地裏 G “ハッピーバースデー梅雨” 日本には四季がある。国外といえばJALパックの旗の後しか歩いたことがない私には、世界のことはわからない。でも、日本の四季は綺麗だと思う。 また、四季に加えて夏の前後には長雨の季節がある。その片方の梅雨は、たいへん劇的な季節であると思う。夏を思わせる強い日差しが出る5月からそのまま一足飛びに夏にならず、拍子抜けしたようなしょぼしょぼの雨に季節になるのだから。 入梅の時期は毎年違うものだが、慣れとは妙なもので、こうやって自然相手に暮らしていると、じきにやって来る嫌な季節の兆候のようなものを受け止められるようになる。そして、まさに劇的なのが梅雨明けである。昨日までの天気とは打って変わって、雷鳴とともに突然やって来る。なにやら新しいページが音を立てて開くような気がするのは私だけだろうか? 私にとって梅雨明けは、新たな季節の誕生のように感じられるのだ。 この梅雨どき、百姓にとってはうまくしたものでそれなりに時間ができる(おそらく畑仕事に慣れていない方にとっては反対だろうと思うが…)。その理由として、種を蒔いたり苗を植えたりといった仕事が少ないことがまず挙げられる。 関東では5月中におおよそ夏までの仕事が終わってしまう。6・7月には草取りもあるにはあるが、この時期の畑にはもう年越しの春草はない。どれも少し前に発芽したばかりのかわいい夏草ばかりだ。 梅雨時期の仕事をあえてさがすなら、ミツバの種蒔きと定植、ジャガイモの堀上げ、大豆の種蒔き、ネギの伏せかえくらいだろうか。どれをとっても、たいしたことはない。 梅雨に行うことは、前もって準備だけしておけばいいのである。あとは天気しだいなのだから…。もっとも、準備といったところで、5月までに植えたり蒔いたりした残りの空き畑に蒔くだけなのだ。そのスペースも考える余地も、極端に少なくなることがおわかりいただけるだろう。 そうだ。皆さんにこの話はしただろうか? 畑は4月1日にすべて使うものではないことを…。だいたいの目安として家庭菜園では、5月20日までに全体の3割を使い、7月20日(関東での梅雨明けの平年日)までに別の3割を使う。残りの4割は秋冬用に残しておく。この秋冬用地は、8月の盆のころから使用する。 梅雨明けから旧盆に収穫されるジャガイモの用地は、4割の空き地と隣り合わせになっていることが望ましい。そうなっていれば、ジャガイモの収穫後に一まとまりの大きな空間が確保できるからだ。そのほうが8月以降の作業はしやすくなる。ところがこの4割が飛び地になって、空き地の間に生育期間の長い作物が入ってしまうと、使い勝手がすこぶる悪い。 このように効率的な空間の使いまわしが理解でき、実行できるようになるには、かなりの経験が必要である。ガルテナーの中にはすでにこれが上手にできている方もいる。これがピタリと計画にはまった時には、おのずと作物も上手にできているものである。その達成感を私は楽しんでいる。しかしこれは意外にむずかしいことなのである。 4割も空いている畑を見ると、皆さんは「夏まで遊ばせておくにはもったいない」と思われるかもしれない。特に夏野菜は上に伸びるため、使用面積が少なくていい。だが、キャベツ・白菜・ホウレンソウは畑面積がそのまま収穫量につながるのだし、収穫する期間も長い。当然、夏野菜に比べて多くの面積を使うことになるのだ。秋冬野菜のために広い空間があるにこしたことはない。 ただし、畑は生き物。酷使は禁物であることを忘れないでいただきたい。 とにかく今は雨の多い季節。貴重な梅雨の晴れ間は、ぜひ有効に使ってほしい。先に挙げたジャガイモ以外にもニンニクやタマネギを掘りあげる。こうした仕事は天気のいい日にやること。一般論だが、貯蔵物の収穫は、晴天の仕事である。 ただし、ジャガイモは初夏に日差しに30分も当てるとすぐに色が変化し、緑から黒ずみになる。色がつくと苦味が出るので注意していただきたい。掘るなら夕方にかけて掘ること。早朝掘って日中一服しないこと(そんなことをすると、夕方には緑の芋になってしまう)。 また、ジャガイモは手で丁寧に掘ること。せっかくの収穫物を鍬やスコップで傷つけてはもったいない。品種にもよるが、新ジャガはそれ程株元から離れたところにはないはずだ。 さらに念のためにいうと、手掘りとは、あくまで「手で掘る」ということ。スコップを手にもって掘ることは手掘りとはいわない。それはスコップ掘りというのである。 収穫したジャガイモは、寝かせた飼料袋の中に平たく並べ、数日から1週間程度は日陰で乾燥させるのがよい。こうして乾燥させたものは比較的長く保存できるはずである。もっとも、管理がよくないと発芽してしまってまずくなるので、なるべく早く食べきることをお勧めしたい。 [斎藤典保] |
||
|
■野菜自慢(訪問先 小坂浩藏さんご夫妻/談) |
|
●ミニトマト トマトはむずかしいと思って去年はつくらなかったので、今年はじめての挑戦です。時期をずらしていろいろな種類を植えてみました。ミニトマトは笠間へ来る途中で苗を買い、4月20日に植えたものです。 油断しているうちに脇芽が育ってしまって、一本仕立てにはできませんでしたが生育は順調です。もういくつも収穫して食べました。露地栽培ですから、市販のハウスものとはにおいが違う! 味の濃さにも驚きますね。愛情をかけて育てたからでしょうか(笑)。 [訪問・文/有野真由美] |
||
■野のグルメ | ||
次号をお楽しみ下さい。 |
|
|
■窯元探訪 | ||
次号をお楽しみ下さい。 |
|
|
■読者のコーナー | ||
『クラインガルテン農楽塾通信』をごらんになった皆様のコーナーです。ご意見、ご感想、他の読者の方にお知らせしたいメッセージなどをお寄せください。内容によっては今後、紙面に掲載させていただく場合もありますので、あらかじめご了承をお願いします(匿名、イニシアル、ハンドルネームでの掲載を希望される方は、その旨、お書きください)。 |
||
■農楽塾“メール農学校” | ||
■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ | ||
◇7月5,6日は、野菜自慢コンテストです。奮ってエントリーして下さい。
◇7月27日は、クラインガルテンの日です。また、今年の菜園コンテストの表彰式も行います。
[笠間クラインガルテン] |
||
■イベント情報 | ||
●「南指原ほたるの里」ホタル見学会 6月の最終土曜日、28日の夕方から笠間クラインガルテンクラブハウスにて「南指原ほたるの里」の説明をスライド写真で見せていただき、市のバスで「ほたるの里」に向かいました。あたりが暗くなった7時半頃よりホタルの輝きが里一面にあらわれ約200名の見学者の感動の声が伝わってきました。 詳しくは笠間市のホームページをご覧下さい。 http://www.city.kasama.ibaraki.jp/~nousei/hotaru/hotaru.htm ●7月5、6日は、七夕感謝祭です。新鮮な地元農産物を取り揃えてあります。 |
||
■新企画 Monthlyインタビュー 〜〜そして私は憧れのガルテナーに〜〜 |
||
おそらく、“笠間クラインガルテン村”にはガルテナーの皆さんのさまざまな思いが詰まっているはずです。創設3年目を迎えた今、ガルテナーの皆さんにも、それからお付き合いさせていただいている私にも、わずかながら余裕が出てきました。そこで、それぞれの思いの一端でも語っていただければ、この事業にご興味をおもちの読者、とりわけ“迷える大羊”達には、素晴らしい道標となることと思いました。 事実、第1回目の取材に立会ったところ、ここでの生活に寄せる真摯な思いと個人の心の充実度が垣間見えたような気がしました。 笠間クラインガルテンは、都会生活者への別荘提供を目的とするものではありません。この存在意義は、都市ニーズの収集と田舎文化の発信にあります。それはお互いの交流から生まれるものです。 ですからこの企画では、ガルテナーの気持ちとその変化を少しでも表現できればと考えています。ご期待下さい。(斎藤典保) 今月号からシリーズインタビュー「〜〜そして私は憧れのガルテンナーに」が始まります。 なぜ「農」に心を惹かれたのか。 クラインガルテンへの道はどのようなものだったのか。 そして土に親しみ、野菜たちを愛でる今、何を思うのか――。 毎回ひと組のガルテナーが登場します。 クラインガルテンに賭けた夢、胸に秘めた熱き思いを、じっくりと聞きましょう。 |
||
●人と自然につき合って愉快に過ごす。昔はそうした生活が当たり前だったんですよ。ここに来て、忘れていたものを取り戻した気がしますね。 ガルテナー/三井勇さん・可能子さん Profile みついいさむ(60歳)・かのこ(57歳)。勇さんは甲府市、可能子さんは山梨市の出身。自宅は埼玉県杉戸町に。勇さんは電機系の商社を勤め上げて2002年8月に定年退職。夫婦で週に2回ほどクラインガルテンを訪れ野菜づくりにいそしんでいる。 ・退職後は夫婦の時間を大事に、楽しく生きていこうと考えて ――三井さんご夫妻はどんなきっかけでクラインガルテンに興味を持たれたのでしょうか。 勇 クラインガルテンのことを知る前から、田舎での暮らしには興味を持っていましてね。私たちは二人とも山梨県の出身だから、ずっと山を見て育っているわけです。社会に出てからはずっと都会暮らしですが、昔の記憶があるからか、歳をとり定年退職したら里山のようなところで暮らしたい、という気持ちが強くなってね。 可能子 それで、田舎の家をいくつか見に行ったんですよ。友だちで貸してくれるという人がいたのでね。ただ、年中は使えなかったり、遠かったりで、望む条件にピッタリの家がないんです。ちょうどそんな時、朝日新聞で(クラインガルテンの企画に参加した)青木辰司先生がクラインガルテンの意義を訴えた投稿を読んだんですよ。 勇 2人とも「コレだ!」と思ってね。もう直観ですよ。絶対にココは私たちが望んでいる理想的なところだと。で、すぐに問い合わせて、幸いなことに抽選にも通ったから、クラインガルテンの住人になることができたわけですね。 ――定年退職の時期に重なっていたんでしょうか。 勇 いや、入村した時は現役でした。それから1年半経った昨年の8月に定年退職となりました。早めに準備を始めていたので、定年前からガルテナーになることができたし、定年後に「やることがない……」という空白期間が生じることもなかった。運もよかったですね。 ――再就職をなさる気持ちは……。 勇 その気はまったくなくてね。退職後は夫婦の時間を大事にして楽しく生きていこうと思っていました。 可能子 ウチには3人の息子がいるんですが、一番下が24歳でみんなが親の手を完全に離れましたのでね。それもガルテンに来る理由のひとつになりました。タイミングが良かったんですね。 ・ここではみんなが仲間、ガルテナー同士の交流が楽しい ――「コレだ!」と直観されたというクラインガルテンの生活、実際にはいかがでしたか。 可能子 もう、想像以上の素晴らしさですよ。今は週に2回くらい来ていますが、里山の景色を見ているだけで気持ちが和むし、のんびりできますからね。 ――野菜づくりについては。 勇 二人ともゼロから始めたようなものだから、なかなか満足するものはできませんよ。でも、ジャガイモ、エンドウ、これからはトマトやキュウリなど、本当に色々なものをつくって楽しめますからね。この喜びはちょっと他では得られないんじゃないでしょうか。 ――作業はお二人で分担されるんでしょうか。 勇 まあそうですが、ウチの場合、年間の栽培計画など大事なことは女房が決めるんです。で、私は女房の“下請け”で草取りを主に担当してるんですけどね(笑)。 可能子 いや、主人は草取りだけじゃなくて、棚や洗濯機を保護する竹製の囲いなんかもつくってくれるんですよ。定年前は家でそんなことあんまりしてくれなかったから、日曜大工は苦手なんだと思ってましたけど、そうじゃなかった。意外に器用だったんですよ(笑)。生活が変わると、そんなことに気づいたりするのも楽しいですよね。 ――ガルテナー同士の交流も楽しいのでは? 勇 その通りです。ここではみんなが仲間だからね。隣の畑をのぞき込んで「おっ、いいのができたねえ!」と声をかけると、たちまち話が弾みますからね。杉戸の自宅では近所づきあいはほとんどないから、こっちに来るとそれが嬉しいですね。 ――都会ではあまり地域のつき合いをしない方も、ガルテンに来ると周りと交流するようになる……。なぜなんでしょう? 勇 う〜ん、不思議ですよね。ひとつには、ここにいるみんなが「農」をやりたい人である、という共通認識がありますよね。上下関係がまったくない平等の立場ということもあるかもしれない。 可能子 やっぱり豊かな自然の中にいると、人情も豊かになるんじゃないかしら。ここでは時間がゆっくりと流れているように感じるし、そんな中では人とつき合って愉快に過ごすことが自然に思えるんでしょうね。考えてみれば、昔はそうした生活が当たり前だったんですよ。ここに来て、忘れていたものを取り戻した気がしますね。 ・3人の息子たちもガルテンファン、ここは“第2の実家”に ――ガルテンを越えた笠間市民の方々との交流などはありますか。 勇 今、ガルテナーの仲間と4人で、近くに田圃を借りているんですよ。米づくりも始めたわけですが、その田圃の持ち主・Hさんという方がとてもいい人でね。都会人に山里の楽しさを教えてやろうと、しょっちゅう私を遊びに連れ出してくれるんです。アユを獲りに行ったり、ドジョウを掬いに行ったりね。この前はそのドジョウをエサにしてウナギを狙おうと思って、川に仕掛けをこさえたんですよ。まだ獲れないんだけどね(笑)。そんなふうにして、Hさんとは楽しくおつき合いしています。正月にHさんの家に遊びに行ったら、地元の人が10人以上もいて輪の中に入れてもらいましたよ。 可能子 遊びから帰ってくると、主人は本当に楽しそうでね。60歳にして少年に帰ったみたいですよ(笑)。これからもこんなふうに、楽しみながら地元の方々と自然なおつき合いができていくといいですね。 ――最後に、これからの抱負を。 可能子 今では、3人の息子たちもここによく遊びに来るようになって、ガルテンは“第2の実家”になっています。だから、ここでの生活をもっともっと大切にしていきたいですね。 勇 最近は、クラインガルテンの森さん(笠間市農政課職員)に声をかけていただいて、木工教室の活動にも参加しています。どうすれば木材でカブトムシを上手につくれるか、そんなことを地元の子どもたちに教えるわけです。時間が許す限り、そんな活動にも協力していきたいですね。 [インタビュー・構成/浜崎智博] |
||
| ||
■発行人:斎藤典保 、石井敬造■編集長:斎藤典保 |
|
|
| ||
|
|