---------------Monthly Kleingarten Nougakujuku News---------------

=======2003.12.1 12月号=========

 

CONTENTS
■畑の露地裏
■野菜自慢
■野のグルメ
■窯元探訪
■Monthlyインタビュー〜〜そして私は憧れのクラインガルテナーに〜〜
■読者のコーナー
■イベント情報

■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ

  ■畑の露地裏  
  畑の露地裏L  年の瀬に想う

 あっという間に一年が過ぎます。一面の緑に覆われていた畑も、ぽつぽつと地面が顔を出します。年の瀬ですね。さびしくなるばかりの畑を見て、やっと今年一年を振り返る時間ができるのです。
 今回は、私の数少ない読書履歴の中で、私の農業観を端的に語ってくれた一節をご紹介します。それぞれ考えることがあると思います。
 より物事の根元に近い部分をどれだけ理解していただくかが、理解させる側の力量です。その点について、クラインガルテンでの私の働きを問われると、恥ずかしくなるので大声で語るのはやめておきます。ただ昨日、利用者間でやり取りされるメーリングリストの中に、自分で作った野菜を自分流に加工された体験例が投稿されていたのを見て、より根元に近づこうとする方々がいらっしゃることに改めて気づかされました。
 これに限らず、ガルテナーの畑を見ると、工夫や検証など、さまざまな試みが見受けられます。栽培クラブの主宰として、これらの興味に答えられるよう今後とも努力したいと思います。
 それでは、先に述べた部分を以下に引用させていただきます。

 「文化」というと、すぐ芸術、美術、文学や学術といったものをアタマに思いうかべる人が多い。農作物や農業などは、“文化圏”の外の存在として認識される。
 しかし文化という外国語のもとは、英語で「カルチャー」、ドイツ語で「クルツール」の訳語である。この語のもとの意味は、いうまでもなく「耕す」ことである。地を耕して作物を育てること、これが文化の原義である。
 これが日本語になると、もっぱら“心を耕す”方面ばかり考えられて、はじめの意味がきれいに忘れられて、枝先の花である芸術や学問の意味の方が重視されてしまった。しかし、根を忘れて花だけを見ている文化観は、根なし草にひとしい。(中略)
 人類はかつて猿であった時代から、毎日食べつづけてきて、原子力を利用するようになった現代にまでやって来た。その間に経過した時間は数千年ではなく、万年単位の長さである。また、その膨大な年月の間、人間の活動、労働の主力は、つねに、毎日の食べるものの獲得におかれてきたことは疑う余地のない事実である。近代文明が高度の文化の花を開かせた国においても、食物生産に全労働量の過半を必要とした時代は、ついこのあいだまでの状態であった、とはいえないか?
 人類は、戦争のためよりも、宗教儀礼のためよりも、芸術や学術のためよりも、食べる物を生みだす農業のために、いちばん多くの汗を流してきた。現代とても、やはり農業のために流す汗が、全世界的に見れば、もっとも多いであろう。過去数千年間、そして現在もいぜんとして、農業こそは人間の努力の中心的存在である。(中略)
 農業を、文化としてとらえてみると、そこには驚くばかりの現象が満ちみちている。ちょうど宗教が生きている文化現象であるように、農業はもちろん生きている文化であって、死体ではない。いや、農業は生きているどころではなく、人間がそれによって生存している文化である。消費する文化ではなく、農業は生産する文化である。
 農耕文化は文化財に満ちみちている。農具や農作技術は、原始的どころか、全世界のほとんどの農耕民のものがそのまま驚くばかり進歩したものになっている。その一つずつに起源があり、また伝播があり、発達や変遷があるが、そのすべてをときあかすことは、人類の全歴史をあらためて述べることになるほどである。 (『栽培植物と農耕の起源』中尾佐助著 岩波新書 より)

 全歴史を解き明かすことは無理としても、とかく枝先ばかりに目が向けられるのは事実であり、特に日本人は形から入ることが多い。ゴルフ道具など心当たりがある御仁も多いことでしょう。
 クラインガルテンの農作業では、枝先の花ではなく、より根元側を見て理解を深めていただけるよう、内容の充実をはかりたいと考えています。


[斎藤典保]

 

野菜自慢(訪問先 戸松重夫さん/談)

   ●野菜いろいろ 

 斎藤さんから3回目の種を買ったダイコンがこれ。野菜自慢? だったら、2回目のやつがよかったなぁ(笑)。もっとすごかった。測ったら8kgもあって、びっくりしたよ。収穫したダイコンは近所にあげたり、自分で切干しにしたり…。他にも、いろいろやってみてるねぇ。サツマイモの芋羊羹もつくったんだよ。作り方はインターネットで調べたんだけど、よくできてるでしょう?(一同ここで試食。たしかに感動的な出来栄えでした)
 これから2週間ほど、オーストラリア・ニュージーランドに“研修旅行”。伊久美さんご夫婦と一緒にオーストラリアでゴルフを楽しんで、その後は女房と二人、オークランドでファームステイを体験するつもりですよ。むこうは夏だけど、この畑は冬支度をしておかないとね。

[訪問・文/有野真由美]
■野のグルメ
   コンセプトは「菜園で採れた季節の野菜で、簡単料理」を基本に月ごとにメニューを提案していきます。
レシピはシンプルなので、料理を作る方の工夫次第で色々なアレンジが可能です。
 料理を盛る器は窯元探訪でお借りした笠間焼の器を使用しています。


八つ頭の煮っころがし・ごま風味

材 料        
八つ頭  300g(ソフトボールくらい)
白ごま   大さじ 2
ミツバ  少々
調味料      
 大さじ 2
出し汁
塩・砂糖・しょうゆ   少々
作り方 1) ゴマは炒ってからよく擂っておく
2) 皮をむいた八つ頭を一口大に切り、下ゆでする
3) 2,3分煮たら、ざるにあけ、ぬめりを取る
4) 鍋に2)と酒と出し汁を入れ、弱火で5分くらい煮る
5) 芋が柔らかくなったら、塩・砂糖・しょうゆを加え、最後に、はじめに練っておいたゴマを加え一煮立ちさせる
6) 器に盛ったら、みじん切りにしたミツバと炒りゴマをトッピングする

手づくり豆腐 2種

材料・作り方は、後日行われるイベントで紹介する豆腐の作り方を参照ください


[斎藤典保]

・・・あとは試食。さあいただきまあーす・・・

今回も器をお借りした森田榮一氏をお招きしご一緒に試食しました。

 「八つ頭」も「手づくり豆腐」も最大限に素材の旨さを引き出された逸品です。
素材の新鮮さ有機栽培で栽培された野菜独特の甘みどれをとってもこの地ならでは味合えないものですね。・・・・・富田

 窯元を訪ねたときから豆腐を盛り付ける器が気になっていました。2つの大豆の色とマッチしているのか心配です。味は、皆様にご批評いただきます。・・・・・斎藤

窯元探訪
●森田榮一氏

 アトリエを訪問時には、生憎、殆どの作品が展覧会に出払っていました。にも拘わらず、作品より貴重と言っていいのかどうか分かりませんが、森田榮一氏の人柄溢れるお話を聞かせていただき、訪問者一同、心洗われるような清々しい思いを胸にアトリエを後にしました。
 アトリエで作陶に励むばかりでなく、できるだけ動いていたいと言われるように、日本国内はもとより、アジア、ヨーロッパと様々な地で文化交流をされている森田氏の、更なる創造の世界の拡がりに注目したいと思います。
 作品は多彩です。是非一度作品展などに足を運ばれ、森田榮一氏の世界に遊んでみては如何でしょうか。

 なお、12月5日(金)〜10日(水)12:00〜PM6:00(会期中無休)、稽古場"風"水戸市新荘3−4−5 .(029)224―6677 にて、森田榮一・モリタ言江"うつわとオブジェ展"が開催されています。

[皆川美知子]


Monthlyインタビュー
〜〜そして私は憧れのガルテナーに〜〜第6回
仕事のストレスから解放され
山桜を堪能し、里山を眺めて……。
笠間にゆったりと流れる至福の時――。

ガルテナー/河田衛・光子さん

静かな里山を愛でながら野菜づくりに精を出す衛さん。
「せっかく笠間に来るのだから」と
陶芸の楽しさを満喫する光子さん。
笠間市が掲げる“農芸と陶芸のハーモニー”という理念を
カップルで自然に実践される、素敵なご夫婦の声を聞きましょう。

Profile
かわだまもる(61歳)・みつこ(60歳)。自宅は埼玉県越谷市。衛さんは大手通信機器メーカー勤務などを経て、通信機器商社を経営。現在、仕事の量を徐々に減らして、農園生活の比重を高めつつある。光子さんは笠間で陶芸を始め、意欲的にモダンな作品を制作している。

アメリカで活躍した時代
我がビジネス人生に悔いなし


――クラインガルテンの話を聞く前に、お仕事の話を聞かせてください。河田さんはアメリカ生活が長かったと伺っていますが、どんなお仕事をなさっていたんでしょうか。

 私はある商社に勤めた後、20代後半に通信機などを製造するユニデンという会社に入りました。ユニデンは今でこそ大企業となりましたが、当時は社員数50人程度のまだまだ小さな会社でね。そのユニデンがメーカーだけでやっていくのではなく、商社機能も併せ持とうと考えたわけです。で、海外でバリバリ活動を展開することができる営業マンを雇い入れようと。

――それで、河田さんが入社することになったと。つまりは、スカウトされたということでしょうか。

 まあ、そうです。商社員時代にアメリカでのビジネスを経験していたのでね。それで、「来てくれ」と声がかかった次第です。

――お仕事の中身はどのような……。

 アメリカにおけるユニデンのビジネスをゼロからつくっていく、というのが私の仕事でした。会社を立ち上げ、いろいろな拠点をつくり、取引先を開拓して、営業を進めていく。時には地元の企業を買収することもありました。すべてが初めてのことだけに、そりゃあ大変でしたよ。でも、若かったし、情熱もあったしね。だからこそ、やれたのかなとも思います。

――アメリカのどちらにいらしたんですか。

 カンサスシティ、インディアナポリス、ニューヨーク、カリフォルニア、テキサスと動きました。トータルで21年、アメリカに滞在することになりましたね。

――奥様にお聞きしますが、ご家族もずっと向こうに?

光子 家は子どもが3人なんですが、子育てなどで3年位は日本にいましたかねえ。あとは大体アメリカにいて、時々日本に帰ってきたり。子どもたちも日米両方の学校を経験することになりました。

――アメリカでのビジネスを振り返ると、いかがですか。

 まあ、精一杯やりましたんでね。ビジネス人生にはまったく悔いなし、というところです。

これから仕事は人生の20%でいい
残りの80%はプライベートの充実に

光子
 ちょっと自慢になるんですけど、この人はね、40歳頃でしたが、1年間に地球4周分の距離を飛行機で移動して、それだけの大変な営業成績を上げたということで、会社から表彰されたんですよ。
 世界の40カ国位を回ったのかな。20年以上前だったけど、100万円の報奨金をもらって感激したことを覚えています。もうひとつ言わせてもらえば、ユニデンの看板ともなっているコードレス電話というのは私が考えたんですよ。30代前半の頃だったと思うけど、私が技術陣に「こういうものができないか」と提案してね。それから設計が始まり製品化されて、大ヒット商品になったわけです。

――誠に輝かしい実績を残されたようですが、そうして定年まで会社員生活を……。

 いや、その後もいろいろ変化があってね。ユニデンは49歳で辞めて別の会社に移り、その後に今度は自分の会社を立ち上げることになって、現在に至っています。

――今の会社ではどのような事業を手がけるおられるのでしょう?

 通信機関係の商社です。韓国や中国のメーカーが製造した機器をアメリカ市場で販売します。これまでの経験を活かして、そんな会社を始めたわけですね。ただ、今年61歳の誕生日を迎えてからは、仕事の量をガクッと減らしました。これまで十分に働いたので、もういいかなと。今からは自分の人生の20%を仕事に使い、残りの80%はプライベートなことに使おうという気になっています。

――ガルテナーになられたのも、そのように自分の時間を大切にしようと思ったからでしょうか。

 そうですね。さっきはビジネス人生に悔いはないと言い切ったし、もちろんその言葉に嘘はないんだけど、その一方で仕事のストレスは大変なものでしたからね。円形脱毛症になったこともありますし。だから、もう少し落ち着いた生活を送りたいという気持ちがあったんでしょうねぇ。で、自分の会社をつくった頃から、いろんなところを探すようになって……。
光子 那須やハワイの別荘地を見に行ったりしましたが、ちょうどそんな時にテレビでクラインガルテンのことを知って、申し込んで。そうしてガルテナーになることができたわけです。

静寂の中、デッキで過ごす一時
これ以上の幸せはないと思えて……


――どのくらいの頻度でいらっしゃっていますか?

 私はほぼ毎週末ですね。来ると大体2泊します。
光子 私は月に2〜3回という感じかな。せっかく笠間に来るんだから、陶芸をやろうと思ってね。東風舎というところでずっと習っているんです。もう2年目になりますよ。その教室が月に2回ありますので、その時は必ず来ますね。

――ということは、衛さんがお一人で来ることも時々あるわけですが、そんな時は淋しくありませんか?

 いや、ここではね、一人で過ごすのがまたいいんですよ。まず、何の音もしなくて静かでしょ? 越谷の家は国道が近くてクルマの音がちょっとうるさいんだけど、ここでは本当の静寂を味わうことができる。それから自然が豊かで、この里山の景色が何とも言えず素晴らしいですからね。私たちが住む埼玉県には、秩父辺りを除いて、こういう山がないんです。そういうなかで一人でデッキチェアに座って、ビールを飲んだり本を読んだりする。これ以上の幸せはないという気持ちになりますよ。

――光子さんは、クラインガルテンのどんなところが気に入っていますか?

光子 私は、春の山々の芽吹き時が好きなんだけれど、ここに来るとそれが見られますでしょ? この前の春は、筑波山の麓を通るともう息を飲むように素晴らしい山桜を見ることができてね。以前に吉野の千本桜を見物に行ったのに、早過ぎて見られなかったことがあったんです。「その憧れの山桜をここで見られるとは!」と感激しました。そんな喜びや嬉しさを与えてくれるから、クラインガルテンはありがたいなと。

――野菜づくりについてはいかがですか?

 そうだ、一番大事な野菜のことも言っておかないとね。とにかく、クラインガルテンでは抜群に美味しい野菜がつくれます。しかも、有機無農薬だから安全だしね。これがクラインガルテンの第一の良さでしょう。
光子 今朝も抜いたばかりのダイコンでサラダをつくりましたが、本当に美味しくて。「こんな贅沢はないね」と話していたんですよ。

――これから先については考えておられますか?

 まずはここで5年間じっくり農園生活を楽しみたいなと。その先は、クラインガルテンと同じような充実感を与えてくれるところを探そうと思っています。
光子 世界のいろんな国が、リタイアした人を年単位で長期に受け入れる体制を用意しているらしいんです。それを利用して外国で生活してみようかな、という気もあるんですけどね。
 候補としては、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、シンガポールなどを考えています。まだ具体的に動いているわけではありませんが、そんな夢も二人で膨らませているところです。


[インタビュー・構成/浜崎智博]

お二人とも笑顔がとっても素敵

ダイコンやホウレンソウなどの秋冬野菜

ソラマメは順調に育って冬越えを待つ

水菜はこんなにも実り豊かに

掘り出したばかりのヤマイモ。お見事!
読者のコーナー
 『クラインガルテン農楽塾通信』をごらんになった皆様のコーナーです。ご意見、ご感想、他の読者の方にお知らせしたいメッセージなどをお寄せください。内容によっては今後、紙面に掲載させていただく場合もありますので、あらかじめご了承をお願いします(匿名、イニシアル、ハンドルネームでの掲載を希望される方は、その旨、お書きください)。
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■イベント
「野菜自慢コンテスト」結果発表

先月号でお知らせ致しました「野菜自慢コンテスト」は浜崎智博さんと有野真由美さん合作の作品が一位に選ばれました。
右の写真はその作品と喜びの浜崎さんです。
■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ
そば打ち体験
 12月6日(土)午後5時〜 クラブハウスにて

◇豆腐作り・ごまの話
 12月13日(土)

◇クリスマスパーティー
 12月20日(土)午後6時〜 クラブハウスにて

◇年末・年始について
 栽培講習会は12月21日(日)9:00〜が最後となります。
 年始は1月11日(日)9:00〜開講いたします。

[笠間クラインガルテン]


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■発行人:斎藤典保 、石井敬造■編集長:斎藤典保
■編集:有野真由美、駒井延行、浜崎智博、林喜代子、富田正義
■通信員:皆川美知子
■発行:笠間クラインガルテン栽培クラブ
■協力:笠間市農政課

●記事に関するお問い合わせ: nougakujuku@michi-m.co.jp
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