---------------Monthly Kleingarten Nougakujuku News---------------

=======2003.11.1 11月号=========

 

CONTENTS
■畑の露地裏
■野菜自慢
■野のグルメ
■窯元探訪
■Monthlyインタビュー〜〜そして私は憧れのクラインガルテナーに〜〜
■読者のコーナー
■イベント情報

■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ

  ■畑の露地裏  
  畑の露地裏K  初冬

 四季の中で一番好きな季節がやって来た。田畑をわたる風がひんやりとして、夕暮れにピンと張った空気の中に立つのが好きだ。たなびく野火の白い煙がなんとも物悲しい。それでいて何故か身が引き締まるようで……。
 皆さんはお気づきだろうか? 畑を作っていると、収穫物がいちばんにぎやかになる季節がある。6月下旬と10月下旬である。おそらく皆さんの畑も、今が最高のときではないだろうか。
 何年百姓をやっていても、作が出来るときはうれしい。まして夏がパッとしなかった今年など、それなりに収穫物があることにほっとしている。
 あまり尻を叩くのは気が引けるが、この1週間で秋と冬が切り替わるので、寒さに当ててはいけないサツマイモやサトイモはきちんと片付けていただきたい。しまうなり、食べるなり、お裾分けするなり、その日のうちに行っていただきたい。なぜなら、仕事を1日の途中で中断するとせっかく作った芋が寒さにあたる心配があるからだ。おまけにこれからの季節は日がどんどん短くなるので、こうした作業は計画的に行わなくてはならない。
 貯蔵物を片付け、豆をまき終わったらひとまず冬の準備が完了だ。そして私もほっと一息つく。
 ここ笠間では、麦を作らない場合、野菜づくりの1年は収穫作業を残して10月で終わりである。ガルテナーの皆さんはこの1年をどのように振り返られるだろうか?
 この事業が始まって3年たつが、今年の天候は決してよいものではなかった。野菜づくりの厳しい一面である。これが工業製品と決定的に異なるところだといってもよいだろう。これを仕事として選ぶには厳しいことが、おわかりいただけるのではないかと思う。もっとも、楽な商売などどこにもないだろうが……。
 残念ながら、食べ物はつくりだめや食いだめができない。これは野菜づくりだからまだよいが、相手が動物であれば、さらに大変になる。人間中心の生活のリズムが成り立たないのだから……。知り合いの酪農家いわく、「野菜づくりが年中無休なら、酪農は生涯無休である」と。
 悪天候に備え、さまざまな手立てを講じるのがプロとはいえ、どうにもならないことだってある。天候に恵まれない年もあるということを、また、そもそも食べ物とは自然条件に左右されるものであるということを理解していただきたい。いや、多少なりとも感じていただけるだけでも価値があると思うのである。


[斎藤典保]

 

野菜自慢(訪問先 野田さんグループ/談)

   ●ヤーコン

 去年、直売所で試食販売のヤーコンのキンピラを食べて、あまりのおいしさにビックリ。それで今年は、地元農家の方の苗を買って植えました。「何も特別な世話はしなくていい」ということだったので、そのアドバイスに従って放置していたら(笑)、こんなに大きくなりました! 全部で6株ありますが、芋は1株あたり20個くらい。東京のデパートの『ヤーコンフェア』では1個250円で売られていたから、「十分モトがとれてる」と密かにほくそ笑んでいます。てんぷらやサラダにするとなかなか美味しいですよ。


[訪問・文/有野真由美]
■野のグルメ
   コンセプトは「菜園で採れた季節の野菜で、簡単料理」を基本に月ごとにメニューを提案していきます。
レシピはシンプルなので、料理を作る方の工夫次第で色々なアレンジが可能です。
 料理を盛る器は窯元探訪でお借りした笠間焼の器を使用しています。


大根の一本煮

材 料       大根 太目のもの1本
      ゆで卵 2ケ
      あさつき 少々
調味料       だし汁(大根が浸るぐらいの量)
     一番だし  1000cc
      酒  カップ1/4
      みりん 大さじ 2
      だし醤油 カップ 1
      大さじ 1
作り方 1) 米のとぎ汁かたっぷりの水に米少々を入れ、皮をむいた大根を下ゆでする
2) くしが中に通るくらい柔らかくなったら用意しておいた出し汁に入れる
3) 出し汁に浸した大根とゆで卵を再び弱火で煮込む
4) 1時間ほど煮たら一度火からおろし冷まし、出し汁を充分しみこませる
5) 食べる前に、もう一度充分あたため、一本そのままを器に盛りあさつきをトッピングして、カットしたゆで卵を添える
アレンジ ゆで卵に出し汁に使用した昆布を千切りにして添えると彩りが良い。

●焼き長ネギの煮びたし

材 料       長ネギ 2本
調味料       大根用の出し汁を使用する
作り方 1) 長ネギを1/2にカットして軽く焦げ目がつくぐらいに焼く
2) 1)をネギが浸る程度の出し汁と鷹の爪を入れた容器に浸し、半日から一日おき味をしみこませる
3) 大根の1本煮と共に器に盛り付ける
アレンジ 長ネギだけを盛り付ける時は3cm程にきり器に盛る

・・・あとは試食。さあいただきまあーす・・・

今回も器をお借りした佐藤泰正氏をお招きしご一緒に試食しました。

 今までになかった迫力の器に負けない見事な大根は、見た目よりはるかに繊細な味付けでした。太い大根の心まで味が染みて、駒井さんの腕が光った料理でした。お借りした器が野趣あふれる大皿でしたので、野菜も野太い力量が要求されます。それを見事に解決されてしまいました。視覚的にも迫力がたっぷり伝わります。このコーナーの主旨にピッタリした、見本のような作品でした。冷の日本酒があったら最高でしたね!?・・・斎藤
 大根の芯まで和風味がほどよくしみこみ、“ゴマ+油揚げ”のあえご飯ともよくマッチしています。お寺で座禅の修行をした後に皆で食するような、心と体が浄化される美味しい料理でした・・・石井
 美味しさもさることながら、器の土の色と大根の白、そして浅葱の緑が美しく調和していて、目でも楽しませていただきました。・・・浜崎裕美


窯元探訪
●佐藤泰正氏

 その薪窯の温度計は300℃〜400℃を表示していた。陶芸家・佐藤泰正氏は、穏やかな表情の中にもこれから始まる炎との闘いに挑む厳しさを時折垣間見せ、慈しむように薪をくべておられた。
 自作の焼成窯は、自然の傾斜地に穴窯と登り窯を組み合わせたもので、直炎式と倒炎式とが組み合わさっているために複雑に炎が流動するのが特徴である。まず雑木を焚いて窯の温度をゆっくり上げるとともに、作品から新たな息吹を引き出す“熾き”をつくり、その後、赤松木を焚いて一気に千数百℃まで上昇させる。織部・志野などの桃山陶は、このような窯で焼かれたと聞いたことがある。
 米国で芸術家としての自由と個性の重要性を勉強されてきた佐藤氏の、創造の世界は限りない。歴史ある窯に命が吹き込まれ、現代と古代の新たなコラボレーションが生まれる。
 ギャラリーには、マグマが噴出し岩石がちぎれ飛んだ太古の地球の世界を呼び戻すかのような大作から、熾きを絡めた花器、片口、コーヒーカップなど、見る者に重厚感がひしひしと伝わり、それでいて非常に軽く使い勝手のよい器が並んでいる。
 「土と炎」からつくりだされる作品を楽しませていただき、至福の時は瞬く間に過ぎていった。


[石井敬造]

【陶歴等】
 笠間焼協同組合のホームページをご覧下さい。
 http://www.kasamayaki.net/cgi-bin/artist/conf.cgi?ID=0017


Monthlyインタビュー
〜〜そして私は憧れのガルテナーに〜〜第5回
会社のセカンドライフ支援制度を
利用して農園生活をスタート。
夫婦でそれぞれ野菜と花を育てています。

ガルテナー/伊久美裕一・愛子さん

伊久美家ではご主人の裕一さんが
本気でガルテナーを目指したのに対し、
奥様の愛子さんは深い興味は抱いていなかったとか。
ところが今では、二人が口々に農園生活の魅力を語るまでに。
その理由とは。ご夫妻の現在の思いとは――。

Profile
いくみひろかず(59歳)・あいこ(58歳)。自宅は千葉県野田市。裕一さんは大手金融会社を2004年1月に定年退職予定。会社の「ネクスト・ライフ・プログラム」支援制度を利用して、ガルテナーとなった。ゴルフ・テニス・釣りなど、夫婦で一緒に多彩な趣味を楽しんでいる。

農業学校で「農」を体験
そしてクラインガルテンへ


――伊久美さんは、もうじき定年を迎える人を対象にした、会社の支援制度を活用して、ガルテナーになられたと伺っています。

裕一 私の会社には「ネクスト・ライフ・プログラム」というものがありましてね。退職後の生活を会社が応援しますよ、という制度です。定年が近づいた社員は、これを利用していろんな活動ができるわけです。能力開発のために学校に通ったり、新しい会社を探して再就職の活動をしたりね。ほとんど出勤せずに自由に行動してもいいんです。私の場合は、ずっと都会生活、サラリーマン生活を送ってきましたから、これからは少しのんびりしたいなと。
愛子 それから、私たち夫婦は、2人とも自然が好きなんですよ。しょっちゅう、釣りに行ったり、ハイキングを楽しんだりしていましたのでね。自宅の近くには5〜6年前から畑を借りて、キュウリやナスを育ててもいましたから。
裕一 それで、会社の制度を利用して「農」を勉強し、自然と親しみながら余裕を持って暮らせる形を、実現できないかと考えを巡らせまして。来年1月には正式の定年になりますが、それまで会社に出勤する必要もないので、時間を有効に使おうとも考えました。

――で、ガルテンの住人になられた、と。

裕一 いや。インターネットで調べてクラインガルテンのことは知っていましたが、すぐに応募したわけじゃないんです。最初は、この笠間からも近い内原町にある日本農業実践学園で農業体験をしました。1週間の泊まり込みで実体験させてくれる制度なんですが、それを利用したわけです。大変に貴重な経験だったし、面白かったけれど、ただこの学校で本気で勉強するのは、とてもじゃないけど自分には無理だなと。そこは就農を目指す人などが、学ぶ学校だったので……。そこまで本格的なものではなく、セカンドライフの楽しみとしての「農」というのかな、もう少し趣味寄りの農園生活を得られないものかと考えて、このクラインガルテンに来ることになりました。

愛子さんが本気になって
花のスペースが広がった


――実際にクラインガルテンを見たのは……。

裕一 2人でゴルフに行った帰りだったかな。場所は確認していましたので、見学に寄ってみたんですよ。すると、地元のテニスクラブでのお知り合いの富田さん(ガルテナーのひとり)にバッタリ会いましてね。ビックリして聞いてみると、クラインガルテンの住人になっているという。そして、非常に充実した農園ライフを送っていると。ラウベ(住居)の中まで見せてくれましたが、とてもいい雰囲気のつくりでね。こういうところなら、ぜひ住みたいなと。畑を耕してみたいなと。それで、すぐに応募して、幸いにも入村することができたわけです。
愛子 ただ、主人はね、最初は、主に自分ひとりで来るつもりだったんですよ。

――ご夫婦で一緒に来るのではなく?

裕一 私はこれまで、一人暮らしというものをしたことがなくてね。結婚するまで親と同居していましたし、結婚してからも単身赴任の経験はありませんでしたから。だから、何となく一人住まいへの憧れがあってね。昼間は畑を耕し、夜は静かにゆっくりと本を読む、というふうな……。
愛子 私も、その考えは悪くないと思ったんですよ。テニスクラブのお友だちなどに聞くと、夫が定年を迎えて毎日ずっと顔をつき合わせるようになると、いろいろあるともいいますしねぇ。で、家のクルマは1台だったから、笠間に行く主人専用に軽自動車を買い与えてね(笑)。お互いが自由に行動できるようにしたわけね。

――もちろん仲のよいご夫婦なんでしょうけど、だからこそ、それぞれの考え方も尊重しようと。そこが面白いですね。ただ、どうなんでしょう、お2人ご一緒のところをお見かけする機会も多いような気もしますが。

裕一 私はほぼ毎週来ていますが、彼女も2回に1回は来るようになりましたからね。
愛子 そうなんですよ。最初、私は主人ほどは乗り気ではなかったのに、今では私の方がハマッってしまったというか……。

――どんな点に?

愛子 何といっても景色がいいし、空気が美味しいしね。周りの環境も素晴らしくて、私は近くの川に釣りに行きますけど、ハヤが釣れるんですよ。小さいからすぐ放しますけどね。そんなところに惹かれました。ガーデニングが楽しめるのも嬉しいな。家でも植木鉢で花を育てていますが、やっぱり限界がありますからね。ところが、ここなら思いっ切り花づくり、庭づくりができるので満足してます。主人は野菜担当、私は花担当と、はっきり分かれているんですけれどね。
裕一 最近、徐々に花のスペースが広がっていて、それがちょっと心配で(笑)。あのダイコンを植えているところも、今度、花壇になる可能性があるらしくて……。野菜の場所を何とか守りたいなと思っているんですけどね(笑)。

目立つ場所にあるから
雑草を絶対に生やせない!


――裕一さんが感じるクラインガルテンの魅力とは?

裕一 私は2年目で、まだわからないことも多いのでね。栽培講習会にはマメに出て、斎藤先生の教えをなるべく忠実に守るようにしているんです。苗を植えるのはこの時期で株間は何センチ、とかね。そうして結果が出ると、つまり野菜がしっかり育つと、本当に嬉しい。それが最大の魅力でしょうね。あと、同じ目的を持ち年齢も近い仲間の人たちと交流できるのも、ありがたいところです。

――裕一さんは来年、定年を迎えるというお話でしたが、その後については考えておられますか。

裕一 再就職の話もないわけではないので、色々考えているところですね。クラインガルテンの生活は大切にしたいとは思っていますが、永続的なものではないので……。彼女はオーストラリアで数年暮らしたいともいうし、まぁ、これからじっくり考えますよ。

――最後に苦労する点などありましたら……。

愛子 ウチの区画は、入り口の一番目立つ場所にあるんです。だから、クラインガルテンの顔みたいにもなっているので、草を絶対に生やしちゃいけない、ということかな。ですから、それを主人には強く言ってあるんですよ(笑)。
裕一 いや、周りの方々はみんなきれいにしているから、私たちもさぼれないという気もありましてね。雑草のない畑は、自分で見ても気持ちがいいですから。ですから、私は草取りを担当していますけど、苦労している気はないですよ。ただね、ウチは見学者の方に声も一番多くかけられますのでね、いつも一生懸命にクラインガルテンをPRしているんです。だから今度、笠間市の広報課の臨時職員にでも、してもらえないかと思っているんですけどね(笑)。


[インタビュー・構成/浜崎智博]

秋晴れの空の下でインタビュー

サトイモをはじめ秋冬野菜が見事に成長

愛子さん担当の花園ではサルビアの赤が鮮やか

裕一さんはすべての野菜づくりを担当

ニンニクの葉もすくすくと
読者のコーナー
 『クラインガルテン農楽塾通信』をごらんになった皆様のコーナーです。ご意見、ご感想、他の読者の方にお知らせしたいメッセージなどをお寄せください。内容によっては今後、紙面に掲載させていただく場合もありますので、あらかじめご了承をお願いします(匿名、イニシアル、ハンドルネームでの掲載を希望される方は、その旨、お書きください)。
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■イベント
野菜自慢コンテスト及びフリーマーケット

10月26日(日)クラブハウス及び駐車場に於いてガルテナーが丹念に育てた自慢の野菜コンテストとフリーマーケットが開かれました。
コンテストの結果は次号に掲載いたします。

■利用者(ガルテナ―)へのお知らせ
◇11月2日(日)10:00〜 『クラインガルテンの日』
                  ・清掃作業
                  ・もちつき
                  ・チャリティー野菜自慢表彰式
      集合:資材収納庫
       雨天:11月3日に順延
 
◇11月22日(土)13:00〜 『そばの収穫』
 
◇11月23日(日)10:00〜 『ブルーベリーじゃむ作り教室』
 
以上 ガルテナー対象の催しです。
 
その他・・・
◇11月1日(土)〜3日(月) 『私の好きな農村』写真展 クラブハウスにて
 
◇11月9日(日) 『新そばまつり』 そば処にて
            ・新そば登場
            ・十割そばの割引き
 

[笠間クラインガルテン]


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■発行人:斎藤典保 、石井敬造■編集長:斎藤典保
■編集:有野真由美、駒井延行、浜崎智博、林喜代子、富田正義
■通信員:
■発行:笠間クラインガルテン栽培クラブ
■協力:笠間市農政課

●記事に関するお問い合わせ: nougakujuku@michi-m.co.jp
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