畑から   5

’02.6.5
 

 畑の仕事を始めて十数年ほどが経ちました。今では気にならないことですが、先日クラインガルテンの利用者からこんなことを言われました。「野菜作りを始めたら、旬がわからなくなりました。」と。確かに頭の中の季節は半年ずれるのですから、その気持ちはわかります。私自身、いつの頃から気にならなくなったのか覚えがありませんが、今ではあたり前になってしまいました。おそらく、勤め人として紙面上の計画と“にらめっこ”している感覚のうちはそう思うのでしょうか。これが体に染み付いて、なんとなくその季節の風に合わせて仕事を思い出せるようになれば、それは季節感も変わることと思うのです。まあ、ちょっとかっこよく言いすぎでしょうか。実際は汗と泥にまみれたバタバタの毎日で、草取りの合間に木かげに座り暖かいトマトをかじれば夏。たとえ冬の白菜苗を植えていても。蒔きストーブの前でポットに種を蒔けば冬。それがナスやトマトの種でも。

 さあ、これから7月は秋冬野菜の始まりです。今はその準備と計画。利用者には繰り返しお話することですが、頭の中を切り替えてください。家庭菜園では、たえず何か収穫できるよう多品目を作り回すのです。ここが、本業で作られている農家と違うところ。そうなると、前述のとおりつねに季節が半年先の仕事を考えるようになります。

 そういう点では、季節に変化がないように思われるかもしれません。でも私は、白菜の苗を手にすると夏、ナスの種を注文すると冬。と感じています。それは、いよいよ今年が始まるとか、そろそろ霜の降りることを気にしておこう。ということを連想させます。私の場合、春と秋の分起点は今行っているミツバの種蒔き。来週種を蒔くキャベツからは冬。