畑から(畑の露地裏)   11

’03.04.01
 

畑の露地裏 D              

〜慣れと上達、そして怖さ〜

 不思議なもので、春の声を聞くと急に暖かく感じるものです。日が延びたせいで、鳥がさえずり蝶が飛びかいます。
 このところの、栽培講習会の内容について気になる意見があります。一つは、「毎回、同じようなことを語っている。」というもの。しかしこれはあたり前のことで、去年と今年の農作業に違いがあるわけではありません。また一方で、「専門的すぎる。」とも。

 前者の方は、コツを飲み込めた方には退屈で仕方がないと思います(2年前までは、神妙な顔をしてメモを取っていたのに)。しかし、クラインガルテンで私は、広い農業のごく一部の話をしているに過ぎないことをおわかりいただきたい。
 後者の方は、私なりに考えると、2つの結論があります。その一つは、上述のごとく退屈されないように、小出しに難しいことも話題にします。確かに専門的です。ただ、そこまで言い及ばないと、話が先に進まないことがあるのは事実であること、おわかりいただきたい。もう一つは、過去に話題として取上げているのだが、実力が伴わないために理解できていないということもあります。簡単に言えば、右の耳から左の耳へ素通りしていたのです。それが、状況を把握できるだけの経験と理論を身につけた今、私の述べることの奥の意味深いところまで考えが及ぶようになったわけです。それゆえ、不安を感じてしまう。しかしながらそれは、要するに上達したのです。結構なことなのです。
 よく言うのだが、「やる気があれば、1年間、現場を見ればおおよその作業は理解できる。でも、10年やっても自信はつかない」と。前者の件で思うのだが、慣れは禁物。油断大敵。今シーズンも、初心を忘れずチャレンジして下さい。結構、素直な新入生の畑の方が、優秀だったりする事もあったりします。本年の目標どおり、ゆとりある農作業に努めるはずが、やはり尻をたたいているようで申しわけありません。

 そろそろ、ダイコンやカブを播種されると思います。土の中で越冬した、キスジノミハムシが出ます。できれば防虫ネットを掛けて下さい。また、越冬成虫は土の中ですから、ネットを掛けたからといって安心しないで下さい。ネットした土の中から出てくれば、害虫の虫かご状態。過信せずにいて下さい。改めて油断は禁物です。 


[斎藤典保]